夜を抜けて by ひつじ published on 2021-05-02T18:19:47Z いつもの悪い癖で 何度も書いては消した指先が あと何センチ先に届いたなら 良かっただろう 「生きることは間違うこと」 そんなわかりきった慰めの言葉 重い十字架と長い償いの 助けにもならない ひどく胸の痛む夜を 騙し騙しやり過ごしていく 明日に躓いても 傷ついても 命は続くから 季節は淡々と流れても 来た道はずっとでこぼこ ずいぶん先を歩く人を見ては 足を止める 「周回遅れでもいい」と 励ます声を信じて裏切られて 期待に沿えない 希望に満たない 惨めな自分を噛み締める 強い嵐の来る音に 怯え一人で毛布を被る 夜が明け晴れていれば きっと外の空気は澄んでいる ひどく胸の痛む夜を 騙し騙しやり過ごしていく 明日に躓いても 傷ついても 命は続くから 悲しくて涙が止まらない時も 後悔ばかりの日も 何かにまた繋がる